障害者差別解消法 『合理的配慮』と『建設的対話』

以下、2016年9月23日に、益田市で行われた講演会「障害者差別解消法ってなに?」を参考にして、自分がわかりやすく理解するため、アレンジして書いたものです。

【ケース1】
車椅子利用者のAさん。晩御飯はカレーにしようと、買い物に出かけた。
精肉店でお肉を買ったところで、急に土砂降りの雨。
カレーなので野菜も買いたかったAさんは、精肉店のご主人に、
「私は傘をさして車椅子を動かすことはできないので、代わりに八百屋へ行って、ジャガイモとニンジンを買ってきてください」
とお願いをした。

・精肉店のご主人は、それを断ってよい。なぜならAさんのお願いは、ご主人の「精肉店が行うべきサービスの範疇」をこえているから。

【ケース2】
ある定食屋さん。そのお店は、何から何までご主人がひとりで切り盛りをしている。
お昼時、お客さんから焼き魚定食の注文を受け、今まさに魚を火に乗せたところで、車椅子利用者の方が3人来られ、
「段差があって入店できない。手を貸してほしい」
と頼まれた。

定食屋さんは・・・

・まず注目すべきことは、ここには“第三者(すでに入店しているお客さん)”がいること。
店にはご主人ひとり。
車椅子の方の要望をすぐに果たそうとしたら、魚はコゲコゲになってしまう。調理場を離れることはできない。だからこの場合、
「できません」
と断ってもよい。
ただし、車椅子利用者であることだけを理由に断るのは差別にあたるので、それはNG。なぜできないのかを明確にする必要がある。

【ここでできる建設的対話】
「今すぐに対応はできませんが、すでに注文をしておられるお客様への食事を提供したあとならできますがどうでしょう」
と提案をしてみる。

等。

【ケース3】
自閉症のBくん。彼はクラシック音楽が大好きで、嬉しくなると激しく体を動かしたり、大声を出す。中でもクラリネットが特に好きで、それを見ると、演奏中でもステージめがけて突進してしまう。そんな彼が、クラシックのコンサートへやってきた。しかも演奏中に、クラリネットのソロがある。

主催者側は・・・

彼が自閉症であることだけを理由に入場を断るのは差別にあたるのでNG。

ここにも“第三者(クラシックを静かに楽しみたいお客さん)”がいるので、お客さんが静かに聴くことができないことや、演奏中(クラリネットのソロ部分)にステージに上がられて、中断する可能性があるから入場はできないという明確な理由をもとに、きちんと説明するのであれば、入場を断ってよい。

【ここでできる主催者側の建設的対話】
・体を動かしてしまうのであれば、一番後ろの席ではどうか。
・クラリネットのソロ部分だけ、外へ出るというのはどうか。
・モニターのある別室での鑑賞ではどうか。

等。


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